第49章 答え合わせ
いつも通り、天主に呼ばれて信長様に抱かれた後、信長様の胸の中でいつも通り悔しくて泣いた私は、恨み言を吐いた。
『こんな所に来なければ、私だって普通に恋をして結婚できたのに』
『.........結婚とは婚姻関係を結ぶ事か』
いつもは私の恨み言にはあまり反応しない信長様が、この時は珍しく結婚の意味を聞いて来た。
『そうです!私だって好きな人から婚約指輪を貰って、結婚の約束をして、結婚式ではお互いの愛を誓い合って、人並みに幸せになりたかったのに!もうこんな私じゃあ、こんな、本当に酷い』
わぁーとその後私は悲しくて泣いたけど、信長様は『面白い、もっと聞かせろ』と言って、泣く私に色々と現代の結婚の事を無理矢理聞いて来た。
「..................あの時の話、覚えてたんですか?」
まだ信長様が、私を珍しい物の様に抱いていた頃なのに
「貴様の言葉は、初めて会ったあの瞬間から、一字一句逃さず全て覚えておる」
「うそ、だって私は、信長様の言葉を全部は覚えられません」
「ふっ、貴様は俺の事になると、理解力も記憶力も悪くなるからな。分かりやすく愛を囁いてきたつもりだったが、全部裏目に出たらしい」
少し困った顔をして信長様は笑った。
「だって、そうやっていつも信長様が私を甘やかすから、私は学習できないんです」
「仕方ない。俺はお前にそれだけ溺れている」
チュッと軽くキスをされた。
「っ.......」
「俺のは、貴様がはめろ」
そう言うと、金色に輝く私のよりも大きいリングを、私の右の掌の上に乗せた。
「えっ?これって、婚約指輪じゃないんですか?」
自分の指に光る指輪を見る。
確かに、ゴールドのシンプルな指輪だけど、そもそもこんな風習はこの時代は無かったと思うし、ダイヤとかも日本ではきっと取れないだろうから、私から聞いた話だけで、信長様が作ってくれた婚約指輪なんだと思ってた。
でも、信長様のもあるってことは....
「婚約期間は設けん。うだうだしておると、貴様はまたふらふらとどこかへ行ってしまうからな。今ここで、貴様とは結婚する。これは結婚指輪だ」
今ここで結婚するって、何て簡単に言うの?現代用語だから感覚が薄いのだろうか?