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恋に落ちて 〜織田信長〜

第46章 二人の時間



「アヤっ!」

門の前で、お市はすでに待っていてくれ、私達の姿が見えると大きく名前を呼んで手を振ってくれた。

「お市っ!」

信長様は近くまで馬を走らせ、私を降ろしてくれた。


「アヤ無事でよかった」
ぎゅっと私を抱きしめてくれるお市。

「ごめんね。心配かけて。心配してくれてありがとう」

私より長身のお市を抱きしめ返す。

けど、

「あれっ?」

お市の体に違和感を感じる。

もしかして

「お腹.....」

体を離してそっとお市のお腹に触れる。

「二人目がいるの」

少し膨らんだお腹に優しく手を置いて、お市がその綺麗な顔を綻ばせた。


「ええっ!おめでとう。すごい、お市すごい。おめでとう」

「ふふっ、ありがとう。茶々の時と違って悪阻もなくて結構楽なの」

綺麗な顔に優しい母の色がさらに濃く加わって、お市は前よりも綺麗だ。

「めでたいな、市」

馬を預け信長様が戻ってきた。

「兄様。ありがとうございます。兄様も、アヤが戻ってきて良かったですね」

「そうだな」

照れ隠しなのか、私の頭をくしゃくしゃとしながら信長様は市に答えた。

「さぁ、二人ともどうぞ中へ。長政も茶々も待っております」

市に手を引かれ、私達は城の中へと入った。





広間へ行くと長政さんが待っていて、一通りの堅苦しい挨拶をすると、すぐに宴会が開催された。

「兄上、今日は飲みましょう」

一歳になった茶々を膝の上に乗せながら、長政さんはどんどんとお酒を信長様に勧める。

「なんか、ご機嫌だね」

「そうね。久しぶりだから。こんな兄様」

「?」

「アヤがいなくなってから、兄様は狂ったみたいに領地を広げて大変だったから」

「えっ?」

「長政が戦から戻ったのもつい最近なの。だからお腹の子供のことも最近知って、喜んでくれて...」


「あの、ごめんね、お市。私そこら辺のこと何も知らなくて」

気にしないでと言った風に、お市は優しく首を横に振った。

「ねぇ、湯浴みに行かない?」

お市が、飲み交わす二人を見ながら私に誘いかけた。

「う、うん」

お市の言葉の意味が気になって、私はそのままお市と湯浴みへと行った。


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