第45章 心の再会
「..........................っく、.........くくっ、くくくっ....」
変わらないアヤの真っ直ぐさに笑いが込み上げてきた。
何をしてる、俺は。
過去を振り返るとは愚かな事だと言って来た。
恐れるものなど何もなかったはずだ。
しかも、失ったものは奇跡的にもこの腕に戻ってきた。
俺にできることは、二度と同じ過ちを繰り返さないことだ。
迷う事など俺らしくもない。ここからもう一度、やり直せばいい。
アヤは、俺のものだ。
・・・・・・・・・・・
「信長のバカー!!!」
本人がいないのをいい事に、普段は絶対に言えない言葉を口に出して大声で叫んだ。
「ほぅ、バカとは、いい度胸だな」
................えっ、うそ!
いやーな汗が背中を伝う。
「のっ、信長様っ!どこかへ行ったはずじゃっ!」
振り向くと、私の後ろに仁王立ちする信長様が。
「気が変わった」
そう言うと、ドカッと私の横に腰を下ろした。
「あんなに怒ってたのに、どうしたんですか?」
「何だ、かしこまって、先程のように信長で良いぞ」
「いやっ、あの」
何か、さっきまでの機嫌の悪さが嘘みたいに、ニヤニヤしてる?
「着物を脱げ」
「..............へっ?」
今度は何⁉︎
「着物を脱げと言っている」
「はっ?何で急に......えっ、やっ、信長様っ!?」
シュルシュルっと、信長様は帯に手をかけて解いていく。
「あのっ、ひゃっ!」
解き終わると、性急に襦袢ごと着物を肩から下げられた。
「きゃぁ、信長様っ、待って」
いや、だって久しぶりで、こんな急に.....
訳が分からず、私は慌てて胸を隠すように腕を前で組んだ。
「見せろ」
「えっ?」
「撃たれた所を見せろ」
あっ、そう言う事か。
てっきり、抱かれるのかと思った自分が恥ずかしい。信長様の目は情欲の目ではなく、何かを確認しようとする目。
「っ、ここです」
私は胸を隠したまま、撃たれた左肩を少しだけ突き出すように、信長様に見せた。