第45章 心の再会
「っ、ぃたっ!」
アヤの悲痛な声で我に帰り、怒りをぶつけるようにその場から立ち去り、廊下に出た。
3日前にアヤが戻ってから、俺はアヤに手を出す事を躊躇している。
あれ程待ち望んだ瞬間が訪れたと言うのに、
理由は、自分でも信じられないが、怖いからだ。
それは、生まれて初めての感情。
戦場においても、実の兄弟に命を狙われた時でさえ、怖いと感じた事はなかった俺が躊躇っている。
アヤの肩の傷を確認する事に....
一年前、
俺は、アヤを守ってやるどころか、攫われて、凌辱され(※現時点で信長はそう思っている)、命まで守ってもらい、しかも、手離してしまった。
あの後、佐助とか言う忍者からワームホールの話と、一年後にまた安土城内にワームホールが現れる事を聞き、アヤを迎え入れる準備を入念にしてきた。
そして迎えた三日前だと言うのに、アヤと正面から向き合えないでいる。
久しぶりに会うアヤは、女らしさが増して綺麗で、会った瞬間、口づけ抱きしめたくて堪らない。
だが、自分の中の何かがそれを許さないと、お前にはアヤに触れる資格がないのだと言っていた。
衝動に任せそのまま抱いてしまいたかったが、肩の傷を見ないわけにはいかない。
魔王とまで呼ばれた俺が逃げるなど、聞いて呆れる。
だが、触れたい。
アヤの何気ない言葉で煽られ、口づければ、そこから漏れる甘い声と吐息に、更に体は熱くなりアヤを欲する。
奴のいなかった一年と違い、横にいるアヤに何もしないのは拷問に等しく、もはや限界だった。
意を決して抱くつもりで天主へと戻れば、好きな奴が出来たから針子部屋に住むと言いだす。
傷つけたいわけではない。だが感情が抑えられない。
俺が、無理やりアヤを抱いて自分のものにしたように、毛利も同じ事をしたのなら、アヤはもしかして...
もう、思考が普通ではない。
自分でも、信じられない言葉が口から飛び出し、アヤをまた傷つけた。
天主を出て、頭を冷やす様にその襖にもたれため息をつく。
「信長のバカー!!!」
今まで聞いた事がない程大きな声のアヤの叫び声が聞こえてきた。