• テキストサイズ

恋に落ちて 〜織田信長〜

第5章 覚醒



暫くして、信長様が広間に入ってきた。
皆一様に頭を下げる。

私も同じように頭を下げていると、

「アヤ、ここで何をしておる」

一週間ぶりに聞く、低く威厳に満ちた声が頭の上から降ってきた。

「信長様、お帰りなさいませ」
畳に手をつき挨拶をすると、

「来いっ」

「わっ!」
グイッと手を引っ張られ、上座へと連れていかれた。

(みんな見てるのに、恥ずかしい)
顔が赤くなるのが自分でも分かる。

「貴様はここにいろ」

強引に信長様の横に腰を下ろさせられた。
もう、恥ずかしくて顔をあげられない。
俯いている私に構わず、信長様は広間に集まった人々に向かって声を掛けた。

「皆の者、出迎えご苦労。今回の視察について、詳しくは秀吉の方から報告がある。秀吉っ」

「はっ!」

秀吉さんが、今回の視察の報告をしているけど、全然頭に入ってこない。
なぜなら、信長様が脇息代わりに私にもたれながら、秀吉さんの報告を聞いているから。

信長様の髪が僅かに頬にあたる。
うーっ......これは一体何の罰ゲーム?
秀吉さんも目のやり場に困った様子で報告を続けている。
政宗と光秀さんはニヤニヤしてるし、家康はため息をついてる。

「秀吉、もっと大きな声で話せっ、アヤの心臓の音がうるさくて聞こえん!」

「っ.................」
なんて事をっ!
皆んながこっちを見てるのが分かる。私は身体中に火が灯ったみたいに熱くなって、広間で報告が終わるまで、顔を上げられず俯いたままでいた。



/ 816ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp