第41章 思惑 〜元就編〜
「っ、やめて下さい」
体を捩って抵抗するアヤ。
すると、首すじが露わになり、そこに引き寄せられる様に舌を這わした。
「やっ、」
俺の腕の中で、アヤの体が固まる。
「肌も柔らかくて甘い、上々だ」
アヤの肌は、今まで抱いたどの女よりも柔らかくて甘かった。
首すじを舌を這わせるだけでは足りず、吸い付いた。
アヤの首すじに、自分の物だと主張する様に、紅い印が刻まれた。
「やだっ、何したの?」
肩を震わせ、声を震わせアヤは俺に言葉を投げつける。そんな反応すら堪らなく俺を興奮させる。
「お姫さんを俺の物にする方が、信長を簡単に苦しめられそうだ」
もっと、お前に触れたい。
軽くイタズラするつもりが、どんどん深みにはまっていく。
手が、自然とアヤの着物の上を滑る様に動いて袷の中に入った。
「......っ、やめてっ、離してっ!」
アヤの泣きそうな声で我に返った。
これ以上は、護衛の者に気づかれる。
今五人も相手にするのは厄介だ。
後ろ髪を引かれながらも俺は袷から手を抜いて、拘束する手を解いた。
「ふんっ、今日はここまでにしておいてやる。それに、時間がない。」
思ったりよりも斬られた傷が深かったらしい。
ポタポタと自分の手から血が滴り落ちて来た。
「血がっ!怪我をして」
アヤが血に気がついて、血の落ちている左手を触ろうとした。
「触るな!」
慌てて手を払った。けど、
「手当てしないと、お願い、見せて下さい」
俺の手を強引に引っ張って袖を捲り上げた。
「っ、」
刀傷を見たことがなかったのか、アヤは傷口を見ると目を細め、一瞬手を止めた。
「これ、どうしたんですか?取り敢えず止血を、ちょっと痛いかも」
手拭いを出して俺の腕に巻きつけてきた。
傷口に驚いた割に、その手つきの良さとアヤの真剣な姿に見惚れた。
「何か、派手な手拭いだな」
「あっ、これは、着物を仕立てた時の端切れを組み合わせて作ったんです。パッチワーク調でかわいいでしょ?って、パッチワークって言っても分かりませんよね。私、たまに変な事言うんですけど、気にしないで下さい。でも、あなたは派手な格好好きそうだから、違和感ないでしょ?」