第40章 思惑
「毛利の狙いはアヤを手に入れること。奴はアヤが俺に疑惑を抱きやすい様に、敢えて遊女屋を根城とし、罠を張った」
奴にとって小国同士の諍いなど、きっかけ作りであり、どうでもよかったのだ。俺が遊女屋へ探りを入れ、アヤがそれを目にする事で俺への疑惑を抱かせる。それが奴の一番の目的だ。
「ですが、影の報告によると、アヤは武田の三ツ者達によって、遊女屋より越前の方へ連れ去られていったと」
秀吉が影からの報告を続けて話した。
越前は、まだ織田の領内だ。
何故そこへ向かう?
「....港....か?」
光秀が呟いた一言で、皆が一つの考えにたどり着いた。
「秀吉っ!急ぎ金ヶ崎城に早馬を出せ!奴らより先に必ず着いて、港を押さえろ!」
「はっ!」
秀吉は早足で広間から出て行った。
「光秀、貴様は越後に放っている斥候に直ぐに使いを出せ!
家康、貴様は甲斐と貴様の領内の境界に目を配れ!政宗は俺と来い!一刻たりとも無駄にするな」
「「「はっ!」」」
「ここでアヤを助けられなければ、取り返す事ができなくなる。急ぐぞ!」