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恋に落ちて 〜織田信長〜

第39章 幸と信玄



「............なぁ、アヤ」

「ん?何?」

「お前、信長の愛人だって本当なのか?」

頼む、違うと言ってくれ。


「えっ、どうしたの急に?」

答えを聞くまでもなく、アヤの顔は急激に赤く染まった。


「城下で噂になってる。どうなんだよ」


「......うん、でも愛人じゃなくて、恋仲だよ」

はにかみながらも、それは見たこともない緩んだ顔でアヤは答えた。

「どっちだって一緒だろ」

なんでそんなに嬉しそうなんだよ。

「っ、一緒じゃないよ!愛人ってなんか響きが......」

いやらしくて嫌だとでも言いたかったのか、途中からごにょごにょと、口ごもるから聞き取れなかった。


「お前みたいな色気のねー女を選ぶなんて、信長って奴も大したことねーな」

お前がもっと、いかにも色気であいつに取り入りましたみたいな女ならよかったのに。

「うっ、それ言われると私もどうしてかなって落ち込むからやめて」

顔を赤らめながらも自信無さげに俯くアヤ。

お前のそんな素直に反応する所に信長は惹かれたんだろうか。

あの、第六天魔王とまで呼ばれ、冷酷非道な限りを尽くしてきた男が夢中で愛する女、アヤ。

「見る目ねーな」

「だからもうそれ、言わないで。悲しくなるから」

バーカ。信長の事じゃなくてお前がだよ。

何でそんな男の女になんかなったんだ。お前がもっと嫌な奴なら......

でも..........わるいなアヤ


俺にも、大事な人がいる........



「その信長って奴、浮気してるぞ」

「えっ?」

「この前、遊女屋の中に入っていくのを見た」


「あっ、それなら信長様からちゃんと理由を聞いてるから」

「どんな理由だって言ってんだよ」


「えっと、理由はごめんね幸には言えないんだけど、仕事の一環だって」

「バカだなお前、そんなのお前を安心させるための嘘に決まってるだろ」

「むっ、嘘じゃないもん」

「嘘に決まってる、現にさっきも、その遊女屋に入って行くのを見たぜ」

「えっ?さっきも?」

僅かに不安に顔を曇らせたアヤの顔を俺は見逃さなかった。


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