第37章 都合のいい女
「政宗様や秀吉様と違って、近寄り難い雰囲気をお待ちだから分からなかったと思うけど、密かに想いを寄せている女子は多いんだよ。しかもここ最近の信長様は雰囲気が柔らかくなって更に人気上昇中なんだから」
なんて事!
正室の方云々と考える前に、自分の立ち位置が危ういなんて。
確かに、信長様はとても綺麗な顔をしてかっこいい。天下統一を果たそうとするほどの強さを持ち、秀吉さんでさえ惚れ込んでしまうほどのカリスマ性もある。
盲点だった!
どうして考えなかったんだろう。
英雄色を好むとはよく言ったもので、あんなに女の人を知り尽くしたみたいな人が、私一人で満足するはずないのに。
しかも時代劇とかでは、武将には沢山の奥さんがいた。確か、信長様にも秀吉さんにも、全然想像できないけど家康にだってたくさん奥さんや子供がいなかったっけ?
あぁ、こんなこと考え出したらきりがない。あれはドラマであって、誰も本当のところは知らないわけで、
それに.....
「信長様は、宴に女の人をよんだり、遊女と一夜を過ごすことがあっても、それはただのフリだから心配ないって言ってくれたから」
私は信長様を信じてる。
みんなが、固まった様に私の顔を見る。
「アヤ、そんな言葉を本気で信じてるの?」
針子の一人が私の肩をガシッと持って尋ねてきた。
「えっ、うん。信じてるよ」
「それ、抱かれながら言われた言葉じゃないよね?」
「ふぇ?」
あまりの突っ込んだ質問に変な声が出た。
えっと...
抱かれてたっけ?その前にした会話じゃなかったっけ?
「ま....えじゃなかったかなぁ」
しどろもどろで答える。
「でもそれって、すでに閨で腕の中でしょ?」
ひゃー!!
もうこれは質問ではなく尋問だ。
「そうだった、かな」
「「「やっぱり〜!!!」」」
みんなの声が綺麗に揃った。
なに?なに?私なんか地雷を踏んだ⁉︎