第37章 都合のいい女
「だから、大好きな気持ちを最高100とするなら、その100から恋仲状態を始めるから、よく知っていくうちに色々と嫌な部分が差し引かれて、気持ちが100から落ちていくしかないんですよ。」
「あっ、分かる。すごく好きすぎると、思い込みも膨らみすぎて、ちょっとの嫌な事で急に嫌いになったり、好きな気持ちが冷めたりするー。」
「そうそう、反対に、まぁ付き合ってみよっかなって時の方が、意外な発見があってもっと好きになったりね。」
「あー、体の相性がすごくいいとかねー。」
女しかいない針子部屋の会話はいつも明け透けですごい。
(何か、みんなすごいな。でも、私と信長様も最初は甘さとは無関係だったな)
会ったばかりの頃の信長様は恐怖の大王みたいだったけど、今はかけがえのない大好きな人になった。毎晩激しく求められるのは、体力的にも身体的にも大変だけど、女としてとても嬉しい。
好きな気持ちは100どころか1000くらいまで上昇してる。当然、嫌いなところなんて思い浮かばない。
「ちょっとアヤ、顔を赤らめてる場合じゃないよ。アヤの相手は信長様なんだから。しかも選り取り見取りだし、これから先間違いを起こさないとも限んないよ」
「そうだよ。みんなあまり口には出さないけど、信長様の事思ってる女子は沢山いるんだよ」
「.......そうなの?」
それは初耳だ。
そりゃ信長様はよく自分はモテる発言をしてるけど、それは冗談だと思ってたし、政宗や秀吉さんと違って信長様は女性に優しくないし、話しかけるとこもあまり見たことがない。どちらかと言えばずっと怖いイメージを世間の人には持たれていると思っていたから。