第36章 男のつきあい
「約束する。天下統一を果たした時には、貴様以外の女には一生触れぬ。だから、それまでは目をつぶれ」
「っ.....」
ずるい。
そんなこと言われたらもうNoとは言えない。
だから....
「待ちすぎて、おばあちゃんになったらどうするんですか」
少しだけ意地悪を言わせて。
「ババアになっても貴様だけだ。貴様だけを抱いてやる」
私の言葉を意地悪とも思わず、信長様はニッといたずらな笑顔を見せた。
「っ、私がおばあちゃんなら、信長様だっておじいちゃんで、きっともう女の人からもてませんよ」
「貴様は阿呆か、俺はずっと引く手数多だ」
真面目な顔で信長様が言うから笑いがこみ上げた。
クスッ
「ふふっ、じゃあ私はやっぱり一生ヤキモチ焼かないといけませんね」
「泣き虫で、手のかかるババアをずっと抱くのも悪くない」
掴まれていた手首はいつのまにか離され、指と指が絡んでいる。
手を繋ぐだけでもこんなにドキドキする。
「私ばっかりこんなに好きで、何だか悔しい」
悔しくて、絡めた指に力をぎゅーと入れた。
「貴様の思いなど、まだまだ俺の思いには追いつかん」
信長様はバカなことをとでも言いたそうに笑い、唇を重ねた。
「ん....」
唇を舐め、差し込まれた舌に優しく舌を絡め取られる。
甘くて優しい信長様のキス。いつもこれで怒っていることを忘れてしまう。
「んっ、信長様」
唾液を絡ませ、舌を吸い取られ、口づけの水音だけが響く室内で、私は既に蕩けそうで下半身がじわじわと熱を持ち始めている。このまま身を委ねてしまおうと思った時、
「貴様の言い分は分かった。もう言い残した事はないな」
突然唇が離れ、信長様がニヤリと私を見下ろした。
「?はい」
あんな濃厚なキスをしたばかりなのにシラフな信長様に頭と感覚が追いつかないけど、取り敢えず返事をした。
「では、ここからは貴様への詮議の時間だ」
「えっ、何?」
絡められていたはずの指はいつの間にか解かれ、代わりに両手首を掴んで私の頭の上で一纏めに縫いとめられた。