第4章 佐助登場
それから何日かがたち、信長様が視察を終え帰城された。
夜になり、天主へと呼び出され、襖を開けると、信長様は、外を見ながらお酒を飲んでいた。
トクンと心臓が音を立てる。
(何だろう。久しぶりに会うからか、緊張する)
妙に意識をしてしまって近づけず、部屋の隅に座った。
「どうした、こっちへ来て酌をせよ」
訝しげに私を見る。
「はい」
隣に腰を下ろし、徳利を持って信長様にお酌をすると、信長様はそれをくいっと飲み干した。
「貴様も飲むか?」
盃を差し出してくれたけど、
「あっ、私はお酒は飲めないので」
お酒に弱い私は、飲むとすぐに赤くなってぼーっとしてしまうので、お断りをした。
「そうであったな」
そう言うと、信長様は私から徳利を奪い、そのまま口に含むと、
突然私の頭を強く引き寄せて口づけた。
「んっ!」
無理やり口を開けられお酒を注ぎ込まれる。
「んーっ」
ごくん。と、飲み込んだ事を確認して唇は離された。
「ゴホッ、ゴホッ、何するんですか!」
むせながらも信長様を睨むと、信長様は再度お酒を口に含み、私に口づけた。
「んんっ......」
お酒を飲み込んだ後も唇が離れない。
「んっ......くるしっ......信長.....様?」
胸を押して離れようとするけどびくともしない。
「男と、会っておるそうだな」
僅かに口を離して、低い声で言う。
「はぁ、はぁ......えっ?」
お酒の匂いと、喉元の熱さに息苦しさも加わり、意識がボーッとして、答えられない。
「ここ連日、必死で着物を仕立てて会いに行っておると、報告があった」
(佐助君の事?)
「なんで、知って......あっ!」
幸が言ってた、『アヤお前、また沢山連れてきたな』ってもしかして。