第35章 祭りの後
「秀吉まだおったのか」
信長様は顔の動きを止めてチッと舌打ちすると、うんざりした顔で咳払いの方を見た。
「城の風紀を守るのも俺の務めですから」
「ふん、小舅が」
「何か言いましたか?」
「わぁ、秀吉さんごめんなさい。気をつけます」
慌てて二人の間に入って秀吉さんに謝った。
「アヤ、お前はいい子だな」
笑顔でぽんぽんっと頭を撫でてくれる秀吉さん。
「勝手にアヤに触るな」
秀吉さんの手を払いのけ私を抱き寄せる信長様。
「アヤは俺の妹みたいなものですから」
いつもの秀吉さんならここら辺で引くのに、今日は強気な態度。かなり怒ってるんだ。
「ふんっ、都合の良い言葉だな」
「もう、やめて下さい!」
口づけを止められて機嫌の悪い信長様を何とか宥めると、秀吉さんは城下の視察の時間ですと言い、信長様は私も連れて行くと言うと、秀吉さんは大反対したけど、信長様はもう聞く耳を持たず、結局、私も連れて行かれることになった。