第33章 愛するという事
「何で私を安土に連れてきたの?........何であの夜私を抱いたの?..嫌だって、やめてって言ったのに、何で抱いたの?」
「っ、アヤ」
アヤの体を起こして強く抱きしめた。
「やだっ、離して!」
手を振り上げて俺の胸を叩くアヤ。
もっと怒れ!好きなだけ叩けばいい。
「あの時、信長様が私の事を抱いたりしなければ、私がこんなにも信長様の事を好きにならずにすんだのに!何で、何でワームホールが出来るって時も帰してくれなかったの?なんで、離れるななんて言うの?何で、何で.........」
貴様を手放すと言う選択肢などない。例え貴様に憎まれようと、俺はもう貴様に出会う前には戻れん。
「っく、信長様が離れるなって言うから、離れたくないから、でも、苦しいし怖い。皆んなが私を娼婦のようだって、お城のみんなが思ってるって.....」
叩く手を止めて、わーっとアヤは泣き崩れた。
初めて、アヤの心に触れた気がした。
守ってやると、守れているつもりでいたが.....
「言いたい奴には言わせておけ、城の者は、誰も貴様がそんな女だとは思ってはおらん」
抱きしめるアヤの身体は今にも折れそうで、なお一層己の不甲斐なさを痛感した。
「っく、ごめんなさい。こんな事が言いたかった訳じゃないのに、ごめんなさい。はなさないで」
全然守れていなかった.......これは、俺が追い詰めた結果だ..
「アヤ」
アヤの両肩を持ちこっちを向かせる。
「いい加減覚えろ、貴様を手放しはせん。離れたいと言っても離してはやらんと、俺が一生をかけて愛するのは貴様だけだと言っておる」
貴様を愛している
「っ、覚えても、覚えても不安で、何度言われても、不安で...っく、」
顔はもう涙でぐちゃぐちゃだ。だが、その顔すらも愛おしい。
「アヤ、今から貴様を抱くぞ」
泣きじゃくるアヤからは何の返事もなかったが、俺はアヤを褥へと倒した。