第33章 愛するという事
「言葉では伝えたりん。俺がどれだけ貴様を愛しているか、その身体に刻んでやる」
俺にはこれしか愛を伝える方法が分からん。
貴様を愛している。
褥に横たわったアヤはやはりまた泣いた。
「そんなに泣くな、貴様に泣かれるのは堪える」
本当に、どうしてやればいいのか分からんのだ。
これまで、女に優しくした事も愛した事も無い。
実の母にさえ疎まれて来た。
愛を伝える方法など知らぬ。
優しく抱いてやる事しか、俺にはできん。
躊躇いながらも、アヤの涙に濡れた頬に口づけた。
「アヤ、愛している。貴様に出会わなければ、俺は愛すると言う事を知ることはなかった」
帯を解き袷を開くと、引き寄せられるように手が伸びる。
「この綺麗な身体に、俺は惑わされているのではない。ずっと愛でて触れていたいほどにおぼれている」
両手で優しく揉みながら胸の先を舐める。薄桃色に色付くその先に音を立てて何度も吸いあげた。
「っ、あっ」
久しぶりに聞くアヤの甘い声。
こんなに泣いていても、貴様は甘いんだな。
貴様に溺れすぎて、その苦しみに気づけなかった。
幸せにしてやっていると思っていた。
俺なりの愛で貴様を包めていると思っていた。
なのに、俺の方がアヤの大きな愛に包まれて.......
過ぎた事を悔やむのは性に合わぬしどうにもならん。
ならば...
「ずっと抱いていてやる。貴様が俺の事以外を考えなくなるまで、俺が、どれほど貴様を愛しているかをその身体が覚えるまで、朝も、昼も、夜も、ずっと貴様を抱き続けてやる」
二度と迷わせぬ
不安になどさせん
俺のやり方で、貴様に教えてやる。
悲しむ余地など無いほどに、俺で埋め尽くしてやる。