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恋に落ちて 〜織田信長〜

第33章 愛するという事



異変は、次の朝に起こった。

目覚めると、笑顔のアヤがいた。

目が少し赤くなっていたが、昨日の事を俺は知らない事になっているはずだから、気づかないふりをした。


支度を済ませ、朝餉を摂る為に天主を出た。


「っ........」
アヤの足が急に止まった。


よく、何もないところでつまづく手のかかる奴だから、またそれだと思い、アヤの手を握った。


「あのっ、」

急に不安そうな顔をすると、アヤは俺の手を振りほどいた。


「アヤ?」
何かおかしい

「ごっ、ごめんなさい。手が汗ばんでて、一人で歩けます」

触った感じ、汗などかいてはなかったが、

「何だ、そんな事気にならんが、まあいい。行くぞ」

あまり追求する事もなく、俺は歩き出した。

当然アヤもその後ろについてきていると思い、横をみるといない。


「はっ............はっ、」

息苦しそうな声が後ろから聞こえてきた。


「アヤ?」

先ほどの場所で、アヤが胸に手を当て、息苦しそうに唸っている。


「アヤ、どうした、息をしろ!」


「はっ、はっ、はっ、はっ」

浅く、何度も息を吸おうとするアヤ。

「過呼吸だ」

急いで、アヤの顎を上げて口づけた。

「はっ、やっ、信長様、こんなとこでやめて」

頭を捩って、口づけようとする俺をアヤは拒もうと必死だ。

「すぐ楽にしてやる。力を抜け」

力で抑えつけ、口を塞いで呼吸を奪った。

暫くすると、すうーっと息を吸い込めたのがわかり、口を離した。


「はっ、はぁ、はぁ」

アヤを力強く抱きしめる。

「はぁ、もう、大丈夫です。はぁ、すみません」

「体調が悪いなら無理をするな、朝餉はここに運ばせる」

昨日の心の傷が癒えていないのだと思い、何度も頭や頬を撫でた。

「私は、はぁ、大丈夫...ですから、はぁ、信長様はいって..くだ..さい。はぁ、はぁ」

こんな貴様を置いていけるわけがない。

「俺も今朝はここで食べる。昨日の残務処理があって今日も一緒にいてやれん。せめて朝餉くらいは一緒にいてやる」

アヤを抱き抱え、再び天主へと戻った。



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