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恋に落ちて 〜織田信長〜

第32章 トラウマ



「何で私を安土に連れてきたの?何であの夜私を抱いたの?嫌だって、やめてって言ったのに、何で抱いたの?」


「っ、アヤ」

信長様が私の体を起こして強く抱きしめた。

「やだっ、離して!」
手を振り上げて信長様の胸を叩く

「あの時、信長様が私の事を抱いたりしなければ、私がこんなにも信長様の事を好きにならずにすんだのに!何で、何でワームホールが出来るって時も帰してくれなかったの?なんで、離れるななんて言うの?何で、何で」

信長様は何も言わずに、私に胸を叩かれ続けている。


「っく、信長様が離れるなって言うから、離れたくないから、でも、苦しいし怖い。皆んなが私を娼婦のようだって、お城のみんなが思ってるって.....」

叩く手を止めて、わーっと、その胸に泣き崩れた。


「言いたい奴には言わせておけ、城の者は、誰も貴様がそんな女だとは思ってはおらん」

信長様はずっと抱きしめてくれている。


いつもより少し速い信長様の胸の音が、私の事を心配していると言っているようだった。


「っく、ごめんなさい。こんな事が言いたかった訳じゃないのに、ごめんなさい。はなさないで」


悔しさや、悲しさや、苦しさや、色んな感情がごちゃごちゃで、でも、本当は全部口に出してしまいたかったし、聞いて欲しかった。


「アヤ」

私の両肩を持って少し体を離し、信長様が真っ直ぐに私の視線を捉えた。

「いい加減覚えろ、貴様を手放しはせん。離れたいと言っても離してはやらんと、俺が一生をかけて愛するのは貴様だけだと言っておる」



「っ、覚えても、覚えても不安で、何度言われても、不安で...っく、」

全てを信長様のせいにして責めるなんて、こんな子供みたいなことを言って困らせて、それでも、離れるなって、必要だって、愛してるって言って欲しかった。




「アヤ、今から貴様を抱くぞ」


信長様はそう言うと、ゆっくりと私の体を褥に倒した。


「言葉では伝えたりん。俺がどれだけ貴様を愛しているか、その身体に刻んでやる」


私を上から見上げる信長様は熱っぽくて綺麗で、

やっぱりまた涙が出た。


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