第30章 三度目
「御館様の弱点?あぁ賭けをしているんだったな。それならこれを使え」
そう言って光秀さんは、
コトリとピストルを机の上に置いた。
「......................」
もう笑えない。みんな私に何をさせたいの?
「信長様と私のはただの交換条件みたいなもので、戦ではないからこんな怖いもの使いません!もう、この冗談は怖すぎます。何か隙が出来そうな弱点が知りたかっただけなのに」
「冗談だ。本当にお前はからかい甲斐がある」
ククッと、さも可笑しそうに笑う光秀さん。
「何もないなら帰ります。忙しい所を失礼しました」
(これ以上からかわれたくないから帰ろう)
「まぁ待て、そう短気を起こすな。まずは、お前がどうやって仕掛けているかを見せてみろ、何がいけないかを見てやる」
「ほんとですか?ありがとうございます」
(光秀さんやっぱり優しい)
・・・・・・・・・
「ううっ、全然優しくなんかなかった.......いたたたた」
あの後、散々ここが悪いとか、隙だらけだとか、気配を消せとか言われて、何度も畳に投げられ、おでこをピンっと弾かれた。
「まさか、この間の脱獄のお仕置きを今頃?いやいや、あれは私が悪いし、あーでも痛かった。(御館様の弱点が何かもわからないなんて、お前は本当に何も見えてないんだな)とか言って、結局何も教えてくれなかったし」
ジンジンする腰とお尻をさすりながら、最後の頼みの綱の三成君のお部屋へと行った。
「秀吉様が無理だと仰った事を、私ができるはずありません。アヤ様をお助けしたい気持ちはありますが、お力になれず申し訳ありません」
頼みの綱は切れ果てた。
「そうだよね。ごめんね変なこと聞いて」
「いえ、アヤ様も何かいい方法が見つかると良いですね」
キラッと爽やかな笑顔が光った。
「そう言えば、今見てるそれ、城下の地図?」
私が部屋に入った時も真剣な顔でその地図を見ながら何かを書いていた三成君。
「ええ、アヤ様が安全に歩ける様に、今城下のあらゆる箇所の弱点を探っているんです。前回警備を強化した際も自信があったのですが、毛利元就に見事に破られてしまいましたから。」
「そうなの?ごめんね私が捕まっちゃったばっかりに」
なんか、余計な仕事を増やしてしまっている?