第28章 団子より花
「おのれ毛利元就、一度ならず二度までも、アヤ、貴様は二度と城下へは行くな」
「そんな、ちゃんと信長様の言いつけ通り、決められた所しか行ってない.......んっ」
両手を頭の上で一掴みに縫い止められ、噛み付くように口づけをされた。
「んっ、は......のぶ............んっ」
強引に舌をねじ込み絡ませ、私の呼吸を奪っていく。
「はっ......んっ..くるしっ」
目頭が熱くジワリとしだした頃、漸く唇を離してくれた。
「貴様は俺のものだ。反論は許さん!簡単に他の男にその肌を許すな」
「なっ、簡単にって、私が、毛利元就にされたことを喜んでいるとでも思ってるんですか!ひどい」
(いくら、私に隙があるからって、そんな言い方しなくても)
「っ、アヤ」
「急に連れ込まれて、護衛の人がどうなってもいいのかって脅されて、それでも必死で逃げようとしたら、変な事されて、怖かったのに、どうして怒って、こんな乱暴な事」
「アヤ」
怒りを鎮め、我に返った信長様が優しく触れようと手を伸ばしたけど、
「やっ、触らないで!乱暴な信長様は嫌いっ!」
悔し涙を流しながら、信長様の手を払った。
「アヤ」
今度は、力ずくで抱きしめられた。
「やだっ、離して、嫌いっ」
腕の中で抵抗するけど、全然信長様は動じていないようで、
「アヤ、貴様が急に路地裏に消えたと報告があり、急いで軍議を中断して城下へ行こうとした。だがすぐに他の者から無事見つかり道に迷ったたげだとの報告が入り、真偽の程が知りたく、ここで貴様の帰りを待っておったのだ」
「そ.....うだったん....です...か。そうとは知らずに、ごめん...なさい」
(心配させちゃってたんだ。なのに酷いこと言っちゃった)
信長様の腕の中で少し言いすぎたことを反省していると、
シュルシュルと衣擦れの音が聞こえてきた。