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恋に落ちて 〜織田信長〜

第28章 団子より花



「姉上様、なんで?」

手紙を読んで行くと、あの夜城を逃げ出した二人は湖まで逃げて、停泊していた船に潜り込み、京へと渡り、そこから山を越えて元就の領地にまで逃げたそう。そこで元就の所有する貿易船に乗せてもらう事になって、海を渡って二人で新天地で生きて行くことにした。と書いてあった。
元就が私を知っている事が分かり、この手紙をもし渡せる時があれば、私に渡して欲しいとお願いしたとも書いてあった。
姉上が無事に逃げる事が出来て、きっと今頃は外国に向かう船の中で、大好きな殿と未来に向かっているのかと思うと嬉しかった。

元就は、わざわざこれを渡しに?イヤイヤきっと他の用事もあったはず。でも怪我をしてまで届けてくれたなんて、結構良い人かも?イヤイヤさっき変な事されたのに気を許しちゃダメ!
ブンブンと頭を振っていると、

「アヤ様、こちらにおられましたか」
護衛の人達が私を探していたらしく、慌てて来てくれた。

「あっ、ごめんなさい。久しぶりの城下で迷ってしまって」

何だか、さっきの事は言わない方がいい気がして咄嗟にごまかしてしまった。

「御館様が心配されます。お届け物を済まして戻りましょう」

「あの、甘味屋さんにも寄っていいですか?どうしても買いたいものがあって」

「分かりました。お伴します。では参りましょう」

結局、久しぶり城下を楽しむ事は出来ず、護衛の人に護られながら、私は仕立物を届けて甘味を買い、お城へと戻った。



お城の中は、今日も慌ただしく人が行き交っている。収穫の時期という事もあり、様々な物が運び込まれて蔵へと入れられて行く。

お庭でも、庭師の人たちがあちらこちらで手入れをしている。


信長様は今日もきっと軍議に忙しい。でも、顔が見たいから甘味とお茶を持って広間に行ってもいいかな。でも、やっぱりお邪魔になるかな。
それとも、広間の前で、皆んなが休憩に入るのを待ってから入ろうかな。

あれこれ考えながら、取り敢えず一旦、天主に荷物を置きに戻る事にした。

天主の襖を開けると、

「あれっ、信長様?」

こんな時間に珍しく、信長様が机で書簡に目を通していた。

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