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恋に落ちて 〜織田信長〜

第27章 優しい嘘



天主に戻ると、信長様は眠っているみたいだった。
そーっと布団に入ってその隣に横たわる。信長様の目は閉じたままだ。

でも、本当は、起きてるんでしょ?

私が逃がそうとするって分かってたんでしょ?

だから、私が行けるように、寝たふりをしてくれてたんでしょ?

信長様の優しさに、止まっていた涙が再び溢れ出した。

「ふっ.........うっ」
嗚咽を堪えていると、

「どうした、眠れんのか」
信長様がふわりと腕を巻きつけて、抱きしめてくれた。

「........っ、っく」
その優しさに余計涙が溢れ出た。

「案ずるな。怖い夢ならもう見ぬ。安心して眠れ」

優しく私の背中を摩り、おデコに口づけが落とされた。

「っく、ごめん.......なさい......っ、ごめ.......なさい」

いつも、いつも困らせてばかりでごめんなさい。

「何の事か分からんが、眠れぬならいっそ抱いてやろうか」

信長様はきっと私を笑わせるための冗談で言ってくれたのだろうけど、

「は....い....抱いて......下さい」

私は、今すぐに信長様を感じたい。抱きしめてほしい。
一つに繋がりたい。

「..........っ、」
思いがけない返答に、一瞬信長様は困っていたけど。

「ふんっ、今夜は、手加減はできぬぞ」
私に覆い被さり、掠れた声で言った。

こくんと頷くと、帯が解かれ信長様の大きくて熱い手が体を滑った。

「あっ......っ、」

手加減はできないって言ったくせに、その手も、口も、優しく私を愛撫して溶かしていく。

いつから、こんなに優しい嘘がつける様になったの?それなのに私は、それにも気づかず、あなたを困らせてばかりで。

心が苦しくて、涙は止まらない。
私は、信長様の側にいる資格なんて全然ない。

「アヤ、貴様に手が掛かるのには慣れておる、くだらん事で俺から離れようなどとゆめゆめ思うな」

「.........っ」

「貴様は俺のものだ」

私の心を見透かした様に信長様は囁き、こぼれ落ちる涙を何度も優しく口で受け止めてくれた。

「今夜は、全てを忘れて俺を感じろ」

指を絡め、肌を重ね合わせ、口づけを交わす。
信長様を全身に感じながら、何度も何度も送り込まれる熱を受け止めた。

きっと、今までで一番優しく抱かれたその夜、私は眠る様に意識を手放した。

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