第27章 優しい嘘
「アヤ、貴様は、百人が命乞いをしてきたら、同じ様に俺に助けろと言うのか?」
半ば呆れた様な信長様。
「っ、もちろんです。犯した罪は償わなければいけない事は分かります。でも、死んでしまっては、償う事はできません。だから、私は死ななくてもいい方法を考えます」
それに、あなたに少しでも人を殺めることをやめてほしい。
「ふんっ、何の益にもらなんことを喋りすぎた。もう寝ろ」
私を膝から下ろして、褥へと横たわらせた。
「信長様っ、待ってください」
慌てて半身を起こして信長様の袖を掴んだ。
「くどい!アヤ」
掴んだ手を振りほどかれて、再度体を褥に押し付けられた。
完全に怒らせてしまった目が私を見下ろす。
「貴様は黙って、俺に守られていれば良い」
「んっ」
怒りを含んで熱を持った唇が、私の口をふさぐ。
抵抗する私の力を奪うと、信長様は唇を離した。
「暫くは、この部屋を出ることを禁ずる。女どもに会うこともゆるさん、分かったな」
そう言うと、信長様は天主から出て行ってしまい、その夜は戻って来なかった。
私は、その夜は一睡もできず、かと言ってどうすればいいのかの答えも見つからず、考えると吐き気に襲われ褥に横たわると言った感じで、朝を迎えた。