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恋に落ちて 〜織田信長〜

第27章 優しい嘘



夜、遅い時間に信長様が戻ってきた。

「信長様、お疲れ様です」

「ん」

軽く返事をして、信長様は寝間着に着替えた。

「アヤ、こっちへ来い」

褥の上に胡座をかいて、私を呼んだ。
どうしよう、なんて言えばいいのか分からない。

言われるがまま、私は信長様の元へと行く。

「あっ」
腕をやんわりと引っ張られて信長様の上に抱き乗せられる。


「アヤ」
低くて甘い声で囁かれ、唇が重なり、袷の中に手が入ってきた。

「っ、、、」

何か言わなければと思うのに、会話の糸口がつかめない。

「んっ......」

口内を深く探られ舌を絡めあっても、さっきの姉上の顔が頭から離れない。


「...............いつになく、心ここにあらずと言った感じだな」
信長様が唇を離し、袷から手を抜いた。

「...........えっ、あ、ごめんなさい」

ふぅっとため息をつきながら、私の体を起こした。

「話は、秀吉から聞いておる」

「えっ?」
(何で秀吉さんが知ってるの?秀吉さんには相談していないのに)
違う疑問が浮かび上がったが、それを打ち消すように信長様が言葉を続けた。

「これは、貴様の出る幕ではない。首を突っ込むな」

「でもっ」

「アヤ、これは戦だ。貴様の甘っちょろさを持ち込むな」
ぐっと肩を掴まれ鋭い目で睨まれた。

これ以上言えばきっと怒らせる。分かっているけど.....


「でき...ません。人が死ぬかもしれないのに、見過ごすなんて、できません!」

「其奴のせいで、敵も味方も何人も死んでおる。罪を軽くすることなどできん」

「ご本人の意思ではなく、周りに言われてと聞きました。謀反を起こす気は無かったと」

「将たるもの、周りの意見に踊らされるなど、言語道断だ」

「そっ、それは、信長様はお強いからそう言えるんです」

「貴様は阿保か、強い者が生き残る、それがこの乱世だ」

「でもやっぱり、助けてあげたいんです。お願いします。」

これ以上何て言えばいいの分からないから、必死でお願いをするしかない。

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