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恋に落ちて 〜織田信長〜

第26章 寝言



「信長様っ!」

少しすると、アヤが慌てて追いかけてきた。いつもの様に、自然と手を繋いできたが、それにも苛立ちを覚えて、スッとほどいた。

「信長様?」
びっくりして、目を大きく見開いて俺を見るアヤ。

「あの、何か怒ってますか?」
ほどかれた手で俺の袖をアヤが掴んで俺の動きを止めた。

「....っ」
ついに感情が抑えられなくなり、アヤの腕を掴んで壁に押しやり、口付けた。

「んっ、のぶっ、」
突然の事に、アヤはその細い体を捩りながら抵抗をするが、何の意味もない。
柔らかなその唇も、たどたどしく俺に合わせる舌も、金平糖よりも甘い唾液も、全て俺だけのものだ。
どれだけ口付けても、奪っても、貴様が足りん。俺以外の男の名前を呟くこの口を、懲らしめてやらねばならん。


「ふっ......ん」
やがて、アヤの身体から力が抜けて、膝からがくりと落ちそうになったので、抱きとめる様に受け止めた。


「言っておくが、これはヤキモチではない」

「えっ?」
涙目になりながらアヤが俺を見る。

「貴様が、誰の夢を見ようが勝手だ。俺はそんな事で怒っているわけではない」


「?分かってます。だって、りょうは女の子ですから」


「...................................................はっ?」
一瞬、思考が止まった。

「貴様、今なんと言った」

「だっ、だから、りょうは女の子です。本当は、涼子という名前ですが、かっこいいからみんなでりょうって呼んでたんです。さっき、言いませんでした?」

「ふっ、聞いてないが、いや、そうか、女か」
(紛らわしい呼び方をしおって)
もやもやとした怒りや苛立ちが一気に吹き飛んだ。

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