• テキストサイズ

恋に落ちて 〜織田信長〜

第25章 秀吉のぼやき③



「秀吉さん、挨拶の仕方を教えて下さい」
お市様の所から戻ってきたアヤが、公式の場での挨拶の仕方を教えて欲しいと言ってきた。

城から初めて出て行った先が、お市様と浅井長政の居城で、緊張したのだろう。
信長様は、アヤにアヤらしくいる事以外は求められないと分かってはいるが、俺はこれを絶好の機会だと捉え、アヤを信長様の正妻の座につかせるべく、動き出すことにした。


この際だから、アヤには武家の女子として必要な知識を少しでも学んでもらおうと思い

「折角だから、この機会に武家の女子として必要なものを勉強したらどうだ?信長様と今後出かける時も役に立つだろ?」

アヤに提案すると、嬉しそうに二つ返事で了承してくれた。


「秀吉、貴様何を企んでおる」

信長様は少し訝しんでいる様子だったが、アヤから頼まれて始める事を伝えると

「まぁ良い、中々外に出られず窮屈な思いをさせておるからな。あやつの気分転換になるならさせてやれ」

と、何とか了承を得た。


姫達の人選は慎重に行った。

織田家に影響力を持つ人物の姫である事は勿論、アヤと年齢が近い事も条件の一つに入れた。

「安土城内にて行儀見習いを行う」と伝えると、どの家からも即座に参加の意思が示された。

如何に織田家の親族や重鎮の姫とは言え、何の理由もなく城に上がれる機会は滅多にない。上手くいけば、御館様やその他の武将の目に留まり、側室に迎えられるかも知れないと野心を持った姫君である事も、俺の中で密かな条件の一つだった。
直接アヤを知る事で、自分では叶わないと身をもって知ってもらう為だ。


/ 816ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp