第25章 秀吉のぼやき③
その後の信長様は、戦に明け暮れ、女は一時の快楽を楽しむものとして、誰も側に置かず、娶らず、天下布武を目指して邁進してきた。
圧倒的覇者として君臨する信長様は、残酷なまでに人を殺めその道を進む。
この安土に居を構えた頃には、第六天魔王の異名がつけられた。
恐怖で支配を続ける信長様には、いつも裏切りが付いて回った。
「何の益がある」を口ぐせに、裏切り者には容赦なく制裁が下される。
一部の側近以外、誰も信じようとしない信長様は、ついに本能寺で命を狙われる事になった。
そこで現れたのがアヤだ。
信長様が、初めて興味を持った女で、側に置いた女。
今だから言えるが、安土に集っている武将達は全員思ったに違いない。
「どうせ直ぐに飽きる。そしたら俺が慰めてやる」と。
だが、そんな考えは要らぬ世話と言わんばかりに、信長様は日々アヤへの愛情を深めていく。
それは本当に、周りの者まで幸せな気持ちにしてくれる程に、お二人でおられるときの信長様は、少年の様に笑って楽しそうだ。