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恋に落ちて 〜織田信長〜

第22章 帰路



信長様の指揮の下、救援部隊は炊き出しを行い、仮設のテントを立てて村人の避難所を開設したり、田畑の泥を汲み取り再び使える様にしたりと、松明の火の中、テキパキと作業は進められた。



「アヤ、お前も食べろ」
灯りの下で着物を繕っているところに、政宗が汁物とおにぎりを持って来てくれた。

「政宗、ありがとう。でも先に村の人達にあげて。私は後で大丈夫」

「だーめだ。お前これ以上痩せると、信長様に捨てられるぞ」

「えっ、何で」

「信長様は本来、膨よかな胸の柔らかな女性が好みだ。今のお前とは正反対のな。だからこれ以上痩せない様に食っとけ」

「うっ、うん。そうする。ありがとう政宗」
慌てておにぎりを口に運ぶ。

「美味しい。政宗が握ってくれたの?」

「いや、俺はそっちの汁物だ」

指を指された汁物も口に運ぶ。

「あー、優しい味。気分が落ち着くね」

「おう。まっ、しっかり食って肉つけろよ」
笑いながら政宗は応援に戻っていった。

私は汁物を啜りながら、さっきの政宗の言葉を思い出す。信長様が巨乳好き(政宗はそうは言ってない)なんて知らなかったな。
自分の胸に視線を落としてみる。

「確かに、あまり大きくはないけど。この時代もブラとかあればもう少し大きく見せられたのにな」

信長様の好みの女性ってどんな人なんだろう。そんな事考えた事なかったけど、政宗にあんな事言われた後だから、急に気になってきた。
私は、出会った当初は興味本位でみたいなことを言ってたから好みってわけじゃなさそうだよね。

「今更だけど、信長様は何で私なんだろう」
おにぎりを食べながら、信長様の姿を探す。

「あっ、いた」
秀吉さんと田畑を指差しながら何かを話してる。

「やっぱり、かっこいいな」
ぼーっと見入っていると、信長様と目が合った。

「あっ、」
秀吉さんに何かを言って、二人でこっちに歩いてくる。

「アヤ」
大好きな笑顔が私に向けられた。

「信長様」
信長様の手を握って嬉しい気持ちを伝える。

「今日の作業は一旦終了だ。後は救援部隊に任せて明日は安土に戻るぞ」

「はい。分かりました。あの、信長様」

「何だ」

「お願いを聞いて下さり、ありがとうございました」
信長様のお陰で村の人達にも活気が戻り、今はやる気に満ち溢れた空気が流れている。

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