第22章 帰路
「信長様。ありがとうございます」
願いを聞き入れられ、ホッとした顔をするアヤ。いつの間にこんなに強くなったのか。俺も大した女に惚れたものだ。
「だが、気に入らんな」
「えっ?」
キョトンとしたアヤの顎を持ち上げて唇を奪う。
「んっ」
びっくりしたアヤは辿々しく俺の動きに答える。口づけだけでは到底足りん。貴様を今すぐ抱き抱えて一緒に連れて帰りたい。口約束とは言え、約束した事を悔いたのは初めてだ。
「約束しろアヤ、かすり傷一つその身につけるな。貴様は俺の物だ。俺の物を傷つける事は許さん」
「はい」
「だが、まだ気に入らん。貴様の願いは俺の口づけを強請るものだと思っておったからな。もう一度だ」
ペロリと下唇を舐め、開いた口を割って舌を入れる。いつもなら、人前だからと嫌がるアヤも不安を拭うかの様に応える。
「っ、ん、早く戻られるのを待ってます。道中お気を付けて」
俺に再び軽く口づけ、アヤは離れた。
「すぐ戻る、その時は口づけだけでは済まさん」
アヤの顔を指でなぞり、俺は馬を走らせた。