第20章 交換条件
「えっ、どう言う事?」
「お前が一番知ってるだろ」
「知らないよ、私はシンの部屋でシンと........」
(そう言えば、毎晩感じた唇の感触と信長様の匂い)
「うそっ、信長様もシンの部屋にいたの?」
(だからシンの毛が髪に付いてたの?)
「お前を天主に置いているのは、そこが一番安全だからだ。でも、シンの部屋は隙だらけで危険だからな。そんなとこにお前を一人で置いておけるわけないだろ」
「...................」
何て言っていいか分からず、言葉が詰まる。
黙って俯いていると、
「ごめんな。お前を責めたいわけじゃないんだ。ただ、信長様はお前の事になると、とことん甘くなるから。それに、この城の御館様にいつまでも犬の部屋で寝かせるわけにはいかないしな」
優しく頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「秀吉さん、私......」
私は結局、その時は何の答えも出せなくて、秀吉さんは「喧嘩も程々にな」と笑いながら行ってしまった。
シンの座布団に横になり、目を閉じる。秀吉さんの話が本当なら、今夜も信長様は来るのかな。
いつも感じていた包まれる様な感じは、信長様が抱きしめて眠っていてくれたからなんだろうか。
今夜は、起きて真相を確かめようと思っていたけど、瞼は段々と重くなっていき、眠りへと落ちてしまった。
深い眠りに落ちかけた時、包まれる感じがして目が覚めた。
「..........っ」
目の前の優しい顔に言葉が詰まる
「ばれたか。残念だな」
信長様は、無邪気な顔で微笑んだ。
「信長様......なんで」
「俺もシンと寝たかっただけだ」
しれっととぼける。
「うそっ、じゃあなんで今シンじゃなくて、私を抱きしめてるんですか?」
「気が変わっただけだ」
「そうやっていつも、私を、私の事を守ってくれてたんですね」
涙が出て、それを隠す様に信長様の胸に顔を埋める。