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恋に落ちて 〜織田信長〜

第20章 交換条件



「ごめんねシン。一緒に寝させてね」
城で飼われている犬だけに、シンの使っている座布団も中々のもので、私はシンの座布団を半分使わせてもらい、一緒に眠ることにした。

目を瞑ると、信長様の顔ばかりが浮かんでくる。

シンもふかふかで気持ちいいけど、信長様の腕の中で寝られない事がこんなにも寂しいなんて、外出できないよりも辛くて、早くもくじけそうだ。

涙が出てきそうで、シンに抱きついて、必死で目を閉じて眠りについた。


眠りにつく中で、襖が開いて誰かが入って来た気がした。髪を撫でられ、口づけが落とされる。
(あぁ、私、寂しすぎて夢を見てるんだ。)
そのうち、ふわりと包まれるような感覚が全身に広がり、私は深い眠りへと落ちていった。




朝になり目を覚ます。
「んっ、 あれっ?」
いつもとは違う部屋の景気に一瞬戸惑う。
「あっ、そうかシンと寝たんだった」

「ワンッ」
元気にシッポを振ってシンが座っている。

「シンおはよう」
シンを抱きしめる。

「昨夜はありがとう。シンのおかげでぐっすり眠れたよ」
(寝てる時は、信長様の匂いに似てる気がしたけど、今はシンの匂いしかしないな)

不思議に思いながらも、支度をして朝餉へと向かう。
広間ではもう信長様が座って待っていた。

夜一緒にいなかっただけなのに、久しぶりに会えたみたいにドキドキする。

「おはようございます」
座りながら、信長様に挨拶をする。

「ん」
信長様の挨拶はいつもそっけない。
でも、見惚れてしまう。

(あれ?)

「信長様、シンの毛がついてますよ」

信長様の髪に、シンの白い毛がついていたから、取ろうと手を伸ばすと、

「良いのか?貴様は俺に触れても」
ニヤリと信長様が笑う。

「っ、いじわる。私が信長様に触れたって、信長様は何ともならないじゃないですか」
ドキドキするのは私ばかりで、勝ち目なんかないって分かってる。

「貴様は、俺が触れればどうなると言うのだ」
信長様の手が伸びて、私の頬を撫でるような手つきをした。

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