第20章 交換条件
暫くして話が終わり、光秀さんが声を掛けてきた。
「アヤ待たせたな」
「光秀さん」
「あまり、御館様を困らせるなよ」
私にこそっと耳打ちをして光秀さんは部屋を出て行った。
(うっ、そんなこと言われたら、言いづらくなっちゃう。でも.......)
意を決して信長の机まで行く。
「何だ」
「あの、私の外出禁止の件で、聞きたいことがあります。」
信長様は書簡を机に置いて、こっちを見た。
「貴様、次その事を口にしたら、二度と城から出さんと言ったはずだ」
私を睨み上げる信長様。すごく怖いけど、
「この間の事は全面的に私が悪いですが、一度目のは、信長様の勘違いで、私は悪くないと思うんです。その、一度目の交換条件は違うんじゃないかって。だから、それを今回の条件に変更して外出する事を許可して欲しいんです」
「何を今更、一度は飲んだ条件を覆す事はできん」
「そんなっ、それじゃあいつまでたっても私はお城の外には出られません。一度目の条件を今回にして下さい。だってあれは、本当に何も無かったんですから」
「くどい!それ以上は貴様と言えど許さん」
信長様は立ち上がって私を睨むように顔を近づける。
「そっ、そうやって怒れば私が何も言えないと思って、今回は叩かれても引き下がりませんから」
恐怖で、涙目になりながらも信長様を睨む。
「いい度胸だ」
信長様はそう言うと、グイッと、私の着物の襟を掴んで引き寄せた。
(叩かれるっ!)
咄嗟に目を瞑ったけど、
「んっ......」
体にきたのは痛みではなくて、甘い口づけだった。
「んっ........なんでっ、ん......」
話そうとしても直ぐに綴じられてその隙間を突いて、舌が割り込み舌を絡めとられる。
「やっ......ふっ...んん」
抵抗しても力で押さえ込まれて、深く甘い口づけが続く。力が段々と抜けて、立っていられない。
ついに、ガクンっと膝から落ちそうになる所を抱きとめられた。