第20章 交換条件
シンを部屋に送るため部屋に向かいながら、何が出来るか考えてみる。
よく考えてみたら、外出禁止は二度目で、一度目は、寝起きのキスとお風呂に一緒に入ることだった。
でもあれは、信長様の勝手な勘違いで、はっきり言って私は悪くなかったよね。
あれ?私、悪くない事で叱られた上に、恥ずかしい条件付きで通常ライフを取り戻したの?
何だか理不尽な気がしてきた。
交渉の糸口が見えた私はシンをお部屋に戻し、天主へと続く廊下をドカドカと歩きだした。
「おい、アヤ、廊下は静かに歩けよ」
すれ違いざまに秀吉さんに注意されたけど。気合いを入れた私は軽く会釈をしてひたすら歩いた。
天主に着いて、襖を開ける。
「信長様っ!」
勢いよく、信長様の机の方へと歩いて行くと、
信長様と光秀さんが話をしている最中だった。
「アヤどうした」
二人同時に私の方を見る。
「話があります!けど、今、お仕事中みたいなので、あっちで待ってます」
「おやおや、アヤ姫様はご機嫌斜めなようで」
普段は絶対姫様なんて言わない光秀さんが、にやにやと嫌味っぽく呟いた。
(もう、ほんと光秀さんはいじわる)
「かまわん。話を続けよ光秀」
信長様は私の事は気にならないかのように涼しい顔で、光秀さんに話を続けるように促した。