第18章 金平糖の罠
その頃アヤは、地下牢で手足を縛られ、動けずに不安な時間を過ごしていた。
さっきまで、僅かに差し込んでいた日差しもなくなり、どんどん闇が濃くなっていく。散々助けを呼んでみたけど誰も来る気配はなく、辺りはヒンヤリとした空気のみが漂う。
(どうしよう。怖い。牢屋って、時代劇とかだと、拷問されたり、切腹とか、色々きっとあるよね。今自分がいるここだってきっと.......)
考えだすと怖すぎて涙が出そうになる。
歌でも歌って気を紛らわそうと必死で考えるけど、焦るばかりでなんの歌も出てこない。
「信長様......」
絞り出すように信長の名前を呼んだ時、
ヒタヒタヒタと、階段を降りてくる足音が聞こえてきた。
恐怖で体がすくむ。
本当に怖い時、声が出なくなるなんて初めて知った。
足音はどんどん近づいてくる。
両手足を縛られた体を引きずりながら、牢屋の一番奥まで必死で逃げるけど、きっと意味はない。
ピタリと、自分の牢屋の前で足が止まった。
恐る恐る見ると、長身の男二人が怪しい仮面を被ってこっちを見ている。
「やっ、」
牢屋の鍵を開けてこっちに歩いてきた。
「来ないでっ!」
一人の男は縄を片手に持っている。
「いやっ!触らないで!」
手足を縛られているから何も抵抗できない。
「やだっ!あっちへ行って!やめてっ!変態!」
体を捩り、縄で縛られた足で蹴っても、相手はビクともしない。しまいには、手に持っていた縄で、猿ぐつわをされ、喋れなくされた。