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恋に落ちて 〜織田信長〜

第18章 金平糖の罠



店の前まで来た信長達は、速やかに店を兵達で取り囲んだ。

光秀が手で突撃の合図をして、兵達が店の扉を蹴り倒して突入した。

兵達と共に信長が中に入っていくと、大広間に一人の男の姿があった。

「よぉ。遅かったじゃねえか」
不敵な笑いで立ちはだかる男。

「貴様、何者だ」
低く怒りを含んだ信長の声が響く。

「毛利元就だ」

「貴様、死んだと聞いていたが、生きていたのか」

「あの世は退屈でな。戻ってきてやったんだよ、織田信長、あんたと殺しあうためにな」

「ふん、死にぞこないが、アヤはどこだ」
信長は、怒りを全身に込めながら、元就との間合いを詰める。

「まあそんなカッカしなさんなって、お姫さんは無事だ。今のところ、な」
周りを取り囲まれ、たった一人、元就は余裕の笑みを浮かべる。

「何が望みだ」

「流石、話が通じるじゃねえか。」
元就は、胸に隠し持つピストルに手を掛けながら話を続けた。

「明日、この港を通る船を無視しろ。なに、お前らに危害を加えようってんじゃない。ちょいと運びたいものがあってな、通してもらいてえだけだ」

「そんな話、受けられるわけないだろっ!」
信長の隣で刀の柄に手を掛け間合いを取る秀吉が叫ぶ。

「なら、アヤは返せねえな。あれだけの上玉、いくらでも高値がつく」

「お前、アヤを売り飛ばす気か!」
秀吉が更に叫ぶ。

「俺が連れ帰って、可愛がってやってもいいんだがな。珍しい金平糖があるって言ったら、嬉しそうに店に来やがって、世間擦れしてないにもほどがあるってもんだ。まぁそんな純粋無垢なお姫さんを手懐けるってのも悪くなさそうだしな」

「お前っ!」
秀吉が刀を抜こうとした瞬間、

「おっと、それ以上動くと、こいつの頭が吹っ飛んじまうけどいいのか」
ガチャリと懐から取り出したピストルを信長の頭に向けた。

ジリジリと、お互いに間合いを取り合う草履の音が響き、部屋中に緊張感が走る。


「いいだろう。貴様の条件を飲む。だだし、アヤが先だ」

銃口を向けられながらも、信長は涼しい顔で答えた。

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