第18章 金平糖の罠
「ん........」
床の硬さと冷たさで目が覚めて、ぼやけた視点が定まっていく。
「ここ、どこ?」
薄暗く、ヒンヤリとした空気が漂っていて、よく見ると、格子が目の前に見える。
「ここ、牢屋⁈...っ、力が入らない」
意識ははっきりとしているのに、頭が痛くて体に力が入らない。
「薬を盛られたんだ。暫くは動けねえよ」
聞き覚えのある声の方に顔を向ける
「あっ、あなたは昨日の」
「おう、また会ったなお姫さん」
格子越しに立って、昨日の男性が私を見下ろしている。
「どうしてこんな事、早くここから出して下さい」
「悪いが、お前には役に立ってもらうぜ」
「だから、私はただの針子です。あなたの役に立つような事は何も」
「嘘はよくないな、アヤ」
口を斜めに上げるような笑みを浮かべ、冷たい目で私を見る。
「っ、何で私の名前を」
「お前の事は調査済みだ。信長の女だって事もな」
「あっ、あなたは一体」
「おっと、紹介がまだだったな。俺の名前は毛利元就だ。まぁ短い間だが、仲良くやろうぜアヤ」
「毛利元就って........」
出身は安芸の国、名前は毛利、何でこの時点で気づかなかったんだろう。
この人は、毛利元就は、信長様の敵だ。