第18章 金平糖の罠
三日後、仕立物を届けた後、私は渡された地図を片手にあるお店までやってきた。
いつも通る道沿いにあるのに、こんなお店があるなんて知らなかった。
「こんにちは」
暖簾をくぐってみると、舶来品が店に並べられている。
「わぁ、なんか博物館みたい」
この時代の人たちには目新しい物。私には懐かしい物として写る物が、店内に並べられていた。
懐中時計が置かれていて手に取ってみる。
「これ、懐中時計だ。本物初めて見る」
昔の映画の中でしか見たことのない懐中時計。何だか感動。
「何か、お気に召しましたかな?」
店の中から店主が現れた。
「あっ、いえ私、紹介で金平糖を買いに」
「毛利様の、伺っております。どうぞこちらへ」
店主に促され、店の中へと入っていった。
「お得意様用の、店には出さない品ですので、どうぞこちらでお待ち下さい」
お菓子とお茶を出してくれて、主人は部屋の奥へと金平糖を取りに行った。
暑さで喉の乾いていた私は、店主の出されたお茶を口にした。
(昨日の人、毛利って言うんだ。んっ?何か聞いたことあるような.........)
「あ....れ?何か.........急に眠気....が.........」
コロンと、手から落ちた湯呑みが畳に転がるのを、薄れる意識の中で見た。