• テキストサイズ

恋に落ちて 〜織田信長〜

第18章 金平糖の罠



「好きな人の事なのに、私全然信長様の事知らないな」

独り言を言いながら、私は仕立てた着物を納めた帰り道に、信長様の好きな金平糖を購入し、城への帰り道を歩いていた。

「それにしても、今日は反物の数が多くて結構重いな」

片手には金平糖も下げていたから、荷物を一度持ち直そうとした瞬間、抱える様に持っていた風呂敷から一反、反物が転がり落ちた。

「あっ、反物がっ....」
転がる反物を追って慌てて拾い取ろうとすると、

ヒョイっと、目の前で反物が他の人の手によって拾われた。

「あっ、すみません」
慌てて拾い主を見る。

「お前のか?」
浅黒い肌で片耳にピアスをした背の高い男性が、落とした反物を手に聞いてきた。

「はい。包から落としてしまって。拾って頂いてありがとうございます」

受け取ろうと手を伸ばしたが、その瞬間にヒョイっと反物を上に上げられ、取り損ねた私はバランスを崩してその男性の胸に顔を埋めるように倒れてしまった。

「わっ!」

「おいおい、随分積極的なお姫(ひい)さんだな」

「ごっ、ごめんなさいって、え?」
(確か今おひいさんって言わなかった?姫って事だよね?しかも、わざと転ぶように手を上げなかった?)

拾う事に夢中で気づかなかったけど、よく見ると、反物が転がって行った先は路地裏で、この人は私が姫って事を知ってるっぽい。

「私の事をお姫さんって、あなたは、ここの人では無いみたいですが」
警戒心を露わにして、なんとか表通りに出ようと後退る。

/ 816ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp