第18章 金平糖の罠
「う〜ん。お料理は自信ないけど、お菓子作りは結構得意だったんだけどなぁ」
でも、オーブンないし、冷蔵庫もないし、泡立て器もないし...............。材料の前に、物が無いと何もできないなんて、何だか情けないな。
信長様から貰うばかりの私。
住む家、着る物、食べ物、愛情、言葉では表現できないくらいの気持ちとか、色々与えられ過ぎて、感謝の気持ちだけでは全然足りない気がする。
でも、信長様は何が欲しいのかも分からない。
以前聞いた時は・・・・・
「信長様の欲しい物を教えて下さい」
「貴様以外にない」
「っ、だから、私があげられる物で欲しい物を教えて下さい」
「貴様だと言っておる」
「真面目に聞いてるんです。いつも信長様には頂くばかりだから、何かお礼がしたいんです」
褥の中で、片肘を付きながら私の話を聞いていた信長様は、ふっと柔らかく笑って口づけてくれた。
「んっ...........だから.....そんな......んんっ」
ごまかさないでと言いたかったけど、その言葉を遮るように舌が割り込み絡めとられた。
「んっ......っ....」
チュ、チュ、と音を立てながら口づけられ、じわじわと目頭が熱くなってきた頃、唇は離された。
「欲しい時に貴様からこうやってもらっておる」
「っ......」
結局、上手にはぐらかされて聞けなかった。
確かに、信長様が自分で手に入れられない物なんて何もなさそうだし。結局行き着くところ、欲しい物は、金平糖とお酒になってしまった。