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恋に落ちて 〜織田信長〜

第17章 安土の休日② 〜湯浴み・褥編〜



「あの....信長様」

「何だ」

「お身体、洗わなくていいんですか?」
ガッチリと湯船の中で抱き抱えられた状況から何とか離れられる理由を探す。

「そうだな、貴様に洗ってもらうか」
ニヤリとキレイな唇が弧を描いた。

「..........っ」
墓穴を掘るとはまさにこの事。

結局一番恥ずかしい格好で信長様のお身体を洗う羽目になった。

風呂椅子に座って背中を向ける信長様、
「絶対にこっち見ないでくださいね」

「分かった、分かった」
信用ならないけど一応頷く信長様。

早く終わらせようと、手拭いに石鹸を取って泡立て、背中にあてて洗う。
信長様の裸をまじまじと見るのは初めてで、ドキドキする。

背中、腕、首すじと洗うと後は前部分で、どうしようか躊躇していると、

「次は前か」
くるっとこっちに身体の向きを変えて来た。

「わっ、ダメっ、見ないでって言ったでしょ!」

「それでは洗えんだろう」

(絶対楽しんでるっ!)

「目、瞑ってて下さいね」

「分かったから早くしろ」
信長様が目を閉じたのを確認して、首から順に洗っていく。
キレイに鍛え上げられた筋肉美に思わず見入ってしまう。
体のあちこちには大小様々な傷跡がある。戦う男の体だ。

「身体中、傷だらけですね」

「そうだな」

この体に、いつも抱かれているのかと思うと勝手に顔が赤くなっていく。

「何を考えておる。顔が赤いぞアヤ」

「きゃー!だから目を開けないでって言ってるのに」

「騒がしい奴だ、貸せっ、貴様も洗ってやる」
私から手拭いを奪い取って私を抱き寄せる。

「ちょっ、まだ、流してませんってば」

「構わん、一緒に流せば良い」

ぎゃーぎゃー言いながら、二人で泡まみれになって頭まで洗いあった。
泡を流して再び湯船に浸かった時には、外はもう暗くなっていた。



「はぁ〜体力使ったから、お腹が空きました」
観念した私は、スッポリと信長様の腕の中で湯船に浸かっている。

「夕餉を食べに戻るか」
私を隣に移し、信長様は湯船から立ち上がった。

「着替え位は一人でさせてやる。先に行くぞ」

私の頬を撫でて、信長様は湯殿を先に出ていった。

「もう......人の気も知らないで」

この後の事を考えると、緊張とドキドキで逆に逆上せてしまいそうで、私もすぐに湯船から出て体の火照りを冷ました。

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