第17章 安土の休日② 〜湯浴み・褥編〜
「っ、」
実は、湯浴みを一緒にすると言う約束は、信長様が忙しくて一度も果たされていない。以前一緒に入って逆上せて以来だから、夕方とはいえ、夏場で日の長い今の時間はまだ明るくて、出来れば逃げたい。
「私、する事があるので、あの...」
壁に手をついた信長様の腕を潜って逃げようとしたけど、
「観念しろアヤ、朝まで啼かされたいなら話は別だが」
腕に捕らえられ、耳元で意地悪な声で囁かれた。
「ーーーーーーっ」
どっちも困る。
数え切れないほどの夜を一緒に過ごしているし、隠し所がないほど全てを知られている事も分かってるけど、やっぱり恥ずかしい。
「あまり、いじわるしないで下さい」
今日は朝からずっと心臓が鳴りっぱなしで痛い。
信長様の顔を見たら息が止まってしまいそうな気がして、その胸に顔を隠す。
「いじわるなのは貴様だ、そうやっていつも俺を焦らして焚きつける」
「焚きつけてなんか、.....っ」
私の腰に手を回してこめかみに口づけてくる信長様。
「早くしろ、貴様が全然足りんのだ」
腕に捕らえられ、甘い囁きが耳を掠め、イタズラなキスが顔中に降り注ぐ。
もう、断る術はない。
「この間みたいな事、しないでくださいね」
また逆上せたら、それこそ全部を見られて恥ずかし過ぎる。
「安心しろ、せっかくの夜を無駄にはせん。湯に浸かるだけだ」
信長様は子供の様に声を弾ませながら、私の手を引いて湯殿へと向かった。
脱衣所では、脱がせたがる信長様に抵抗して敵うわけもなく、あっという間に着物を剥ぎ取られ、抱き抱えられて湯船へと入った(デジャヴの様だ)