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恋に落ちて 〜織田信長〜

第16章 安土の休日②〜散歩編〜



湖岸に着いて、流木のある木の下に腰を下ろした。

シンは嬉しそうに砂浜の方に駆け出していった。


「荷物、ありがとうございました。これ、政宗が作ってくれたお弁当なんです。今朝届けてくれて」

「アイツのメシは美味いからな」

包を開き、重箱を開けると、

「わぁ、美味しそう」
ゴマのかかったおにぎりとごぼうや人参の煮物が美味しそうに敷き詰められていた。

「私も作れれば良いんですけど、今度政宗に教えてもらおうかな」

未来にいた時は、少しの間一人暮らしだったけど、レンジに頼った生活をしてたから、あまり料理は自信がない。しかもこの時代の料理道具は使い方が分からなくて、薪で火加減とかもどうすればいいのか分からないから、今まで避けていた。でも、好きな人に手料理を食べてもらいたいな。

「政宗はやめておけ。料理以外の事を教えられては敵わんからな」
政宗の握ったおにぎりを食べながら、信長様は冗談まじりで話す。

「ふふ、政宗が聞いたら悲しみますよ。せっかくこんなに美味しいお弁当作ってくれたのに」

政宗の事を話していて、ふと思い出した。

「そう言えば、政宗、シンのお弁当も作ったって言ってたけど」

重箱を上に持ち上げて確認すると、笹の包があり、(信)と書いてあって、シンのためのご飯が包んであった。

「あっ、これだ。シンのご飯もあるよ、おいでー」
砂浜を転がるように遊んでいるシンを呼ぶと、元気よく走ってきた。


「待て、はい、お座り、お手」

私の声にあわせてシンがお座りをして、お手をする。
「シン良くできました。はいご褒美」

政宗の用意してくれた干し芋をあげると嬉しそうに食べた。

「おい、今のはなんだ」

「えっ?」

「シンに何をした」

信長様が眉間に皺を寄せ、不思議そうにシンを見る。

「躾です」

「躾だと、犬にか?」

「そうです。私のいた時代では、犬や猫との共同生活が普通になってて、こうやって犬がまだ幼いうちに色々教えてあげて、無駄吠えや噛み癖を無くしてあげるんです」

「面白いな、どうやる?」

「教えたい事を根気強く教えて、出来たらご褒美としておやつをあげるんです。例えば、」

近くにあった小さな流木を手に取って投げる。

「シン、取っておいで」

シンは嬉しそうに流木を追いかけ、それを咥えて戻って来た。
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