第16章 安土の休日②〜散歩編〜
朝餉を一緒に済ませ、外出の用意をする為お互いの部屋に戻った。
そう、今日は二度目の信長様との城下町デート。嬉しくて早く起きてしまうくらい楽しみだったから、ワクワクが止まらない。
今回もまた、城門で待ち合わせ。秀吉さんに今回こそは見つからないように、そっと部屋を出た。
キョロキョロと周りを確認しながら廊下を歩く。
「アヤ忘れ物だ」
いつの間にか背後に秀吉さんと政宗が立っていた。
「っ、」
「信長様は絶対に捕まらないから、お前を待ち伏せするしかないだろ」
うっ、何気に痛いところを。
「忘れ物って?何?」
「ほら。弁当だ」
政宗が小さな重箱の入った包を渡してくれた。
「えっ?」
てっきり城下に行く事を、反対されると思ったから、拍子抜けしていると、
「楽しんでこいよ」
ぽんぽんっと秀吉さんが頭に手を置いて微笑んだ。
「行っちゃダメって反対されるかと思った」
「するわけ無いだろ。今日は正式なお休みだ。信長様と一緒にいてお前が危険な目にあうことも絶対ないしな。」
優しい笑顔の秀吉さんに、少しでも疑った自分を反省する。
「まぁ、強いて言うなら、あまり城下でベタベタするなよ。目のやり場に困るからな」
「うっ、気をつけます」
(自信ないけど)
「弁当、あいつの分も入れておいた。連れて行くんだろ。」
政宗が言う。
「うん。ありがとう政宗。政宗の作るご飯美味しいから楽しみ」
「あたりまえだ」
政宗は不敵な笑みで私の頭を撫でた。
「秀吉さん、政宗、じゃあ行ってきます」
笑顔で見送ってくれる二人に手を振って、私は城門へと向かった。