第16章 安土の休日②〜散歩編〜
「寝込みを襲うとはいい度胸だ」
突然、信長様が目を開けて、私の頭を引き寄せた。
「んっ、んーーーっ」
わざと息が出来ないように口づけてくる。
「んんっーんーんー」
信長様の胸をドンドン叩くけど、容赦なく攻められる。
「んーー・・」
意識が遠のきそうになった時、漸く唇が離された。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ.....もう、何なんですか、心臓に悪いです」
お陰で甘い気分がすっかり吹き飛んでしまった。
「俺の寝込みを襲いたいならこれくらいはしろ」
いたずらな笑顔を向ける信長様。
「命がいくつあっても足りないからもうしません」
(本当に苦しかったんだから)
プイッとそっぽを向く。
「今朝はやけに早起きだな」
信長様に背中を向けた私を後ろから抱きしめながら問いかける。
「だって、今日は......」
花火の日から三日が経ち、信長様が今日一日お休みを取ってくれた。
「久しぶりに、一緒にいられるから、寝てるのがもったいなくて」
私を抱きしめる信長様の腕を抱きしめ返す。
「俺は、今日一日ここで貴様を抱いて過ごしても構わん」
私の頭に唇を押しつけながら囁く。
「えっ、嘘ですよね?あんなに昨夜.......」
恥ずかしくてこれ以上は言えないけど、
「昨夜、何だ」
背中越しにいじわるな質問をしてくる。
「何でもないです」
う〜分かってるくせに。
「答えぬと、朝から啼くことになるぞ」
私の首に唇をあてて、袷の中に手を入れてくる。
「っ、いじわる」
「答えになっておらん」
ツーっと耳のふちを信長様の舌が滑る。
袷から入れられた手は胸の蕾をクニっとつまんだ。
「んっあ、やっ、昨夜、あっ、ん..あんなにしたのに」
恥ずかしい言葉と、朝っぱらから与えられる熱で顔が熱い。
「ふんっ、俺は貴様に飢えている。あれくらいでは全然足りん」
かぷっと耳を甘噛みされた。
「ひゃっ、って、えっ?足りないって、今からですか」
いたずらに与えられる甘さと言葉で焦る私。
「冗談だ」
袷から手を抜き、私を抱きしめる信長様。
「朝と昼は、貴様にくれてやる。ただし夜は、文句は言わせん」
「っ、」
艶のある声で囁かれ、私の鼓動はしばらく落ち着かなかった。