第15章 花火
夜になり、一人で天守から町を眺める。
少し先の神社の方が明るんでいて、お祭の賑わいが見えるみたいだ。
信長様とお祭を楽しむ姿を想像しながら外を眺めていると、
ドーーーーーーーーン
ドーーーーーーーーン
打ち上げ花火が打ち上がった。
「きれーい」
こんな高台から見られるなんて、逆に得したかも。現代ならVIP席だよね。
縁にもたれ、花火の音を聞きながら目をつぶって想像を膨らませる。
500年先の未来で、もし信長様と会っていて、恋人同士だったら・・・
お互いに浴衣を着て駅前で待ち合わせをして、屋台の焼きそばとか食べながら歩くのかな。
あっ、金平糖好きの信長様は綿あめとか食べそう。
金魚すくいとかも上手そうだな。
今ではすっかり履き慣れた草履も、きっと履き慣れてなくて、足が痛いからゆっくり歩いてなんて言うと、優しく手を引いてくれたりなんてするのかな。
そしてそのまま土手に腰掛けて花火鑑賞なんて、素敵だろうな。
「信長様の浴衣姿、かっこいいだろうな」
想像を膨らませすぎてニヤついていると、
「花火よりも、貴様の百面相を見てる方が面白いな」
信長様の声が聞こえてきた。
えっ?
「信長様!?」
想像の世界よりもはるかにかっこいい信長様が笑いながら、私の横に腰を下ろした。