第15章 花火
お城に戻って、信長様を探す。
広間にはもう誰もいない。お昼の軍議は終わったみたい。
天主へ行く途中の廊下で、秀吉さんと歩く信長様を見つけた。
「信長様っ」
こちらを振り返る信長様の元へ駆け寄る。
「どうしたアヤ」
「あの、夕方からの予定を教えて下さい」
「秀吉」
信長様が、秀吉さんにスケジュールを確認する。
「あー悪いなアヤ、今夜も軍議だ」
秀吉さんが申し訳なさそうに言う。
「そうですよね。すみません急に、私もまだ仕事があるので、お部屋に戻ります」
少しがっかりした所を悟られないように部屋に戻ろうとすると、
「アヤ」
やんわりと手を掴まれ呼び止められた。
「信長様?」
「秀吉、先に行け」
そう言い終わるのと、唇が触れるのは同じくらいだった。
「んっ.......」
壁際に寄せられて深く口づけられる。
横目で、秀吉さんが歩き去るのが見えた。ホントいつもごめんなさい。でもここ最近、信長様は本当に忙しくてすれ違ってたから、この口づけを受け止めたい。
「ふっ...んっ......」
ここに残ると決めてからの私はすごく欲張りで、信長様にいつも触れられていたいと思ってしまって、その気持ちが中々止められない。
「あまり煽るなアヤ」
信長様が唇を離す。
まだ、触れていたい私は信長様にぎゅっと抱きついた。
こんなに自分が甘えたがりだとは思わなかった。
あまり困らせたくなくて、巻き付けた腕を離そうとした瞬間、
「きゃっ」
ふわっと信長様に抱き抱えられ、身体が浮いた。
「のっ、信長様?」
「あと数日我慢しろ、たっぷり可愛がってやる」
「んっ」
仕上げの口づけを落とされ、信長様は行ってしまった。