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恋に落ちて 〜織田信長〜

第14章 二人の距離 信長編



「っ、」
アヤは目を見開き、涙を零しながら口づけを受け止めた。

水を得た魚のように、俺はやっと生きている感覚を取り戻す。
アヤの唇から伝わる温度に包まれ、もやもやした霧が晴れていく。

「っ、何でこんな事」
目も、顔も真っ赤のアヤ

「気が変わった。貴様を未来には帰さん」

「っ、」
そんなに泣くな

「もう、離れることは許さん」
この口は、俺のものだ

「んっ、......ふ.........はっ....」
貪るように、アヤの口内を攻めようとすると、どんどんとアヤが胸を叩いてきた。

「何だ、落ち着かん奴だ」

「わっ、私はまだ帰らないなんて、言ってません」
泣きじゃくりながら、いつものアヤらしく俺を睨みながら、気持ちをぶつけてきた。

「私は、戦なんて嫌いだし、人の命を奪うのは嫌なんです」

「分かっておる」
それでも俺は貴様を手離せない。そのかわり、
貴様の望む世を必ず作り上げてやる。

「平凡に、普通に生きてきたから、強くなんてなれないし」

「俺に守られていればいい」

「信長様を支える自信なんてないし」

「貴様がそばに居れば、それで良い」

「っ、私と信長様の間には、分かり合えない距離があって、私は、一緒にいると苦しいんです」

「貴様は500年という時空を超えて来た。それに比べたら、大した距離ではない」

「ちっ、父と母が信長様と恋仲なんて知ったら、きっと反対します」
なんだそれは

「娘が天下人の女になるのを喜ばぬ親などおらん」
反対などさせん

「うっ、さっきまで浮気してたくせに〜うぅ〜」
何かを思い出したようにアヤはまた泣き出した。

「貴様が離れようとするからだ」
本当の事を知ったら、貴様はまた怒るであろうな。

「私の時は勝手に疑って怒ったくせに!」

「あたりまえだ。相手がバラバラに斬り刻まれなかっただけでもありがたく思え」

あれは、今思い出しても腹が立つ。

「そうやって、いつも勝手な信長様が大嫌いですっ」

「構わん」
怒る貴様にも見惚れるなど、重症だな。
早く、触れさせろ。

「だっ、だから、人が真剣に話してるのに、何で着物を脱がしてるんですか」

「この後、する事は一つしかない」
首すじに唇を押しあて、アヤの体温を再び感じる。

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