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恋する奴等

第58章 さみしいさみしい フェージャの話




すっ
「はい、あ〜ん···」

「あ〜···」

しゃり····しゃり

(いきなり食べさせてください。ってびっくりした···)

(···あまい···あまい)


からっぽな何かに触れる。

「まだ食べれますか?」

あん
「····」

(ヒナみたい)

「はい··あ〜ん··」

ぺた
(リンゴが落ちた)

「うわ!そのままでいてください。手についちゃった···取りますね」

(あまい···)

私はフェージャの手についたリンゴを拭き取る。
そんな時に

ぎゅうって手を握られた。

「どうしました?」

「今日だけでいいです。今から私は「僕」と言います····それで今日1日、私の傍にいてください」

自分はおかしいと思った
普段なら言わない
周りを駒として扱い捨てる

なのに今は

昔の自分を押し出している。

「······」

女は黙る。

(やっぱり引きましたか···別に今となってはどうでも···)


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