第3章 🐾2
降谷零side
零「なんだ風見。」
今日はぶんどった休みで負債した睡眠を返済しようと思った矢先、風見から電話がかかってきた。
風見「急用ではないのですが上からの指示です。」
零「それで?」
風見「表向きは財閥という形ですが裏では薬や暴力事などを働いている組織の調査を時間がある時にして欲しいとのことです。」
なんだ今度はヤクザ絡みか?昨日の密猟者探しといい今回の仕事といい……。まったく、いつから公安は何でも屋になったのだ。
風見「それから……。裏で働いていることなんですが、まったく証拠を残さないんです。なので下の警察達もお手上げのようで。」
零「わかった。情報収集はお前に任せる。こちらでもなにか動きはないか見ておく。」
風見「はい!」
ピッと電話を終了させ、ため息をつく。
証拠がないとなれば厄介だ。しかし、火のない所に煙はたたない。必ず何かあるはず。
俺は私服に着替える。
ハロ「わん!」
零「今日もお留守番頼んだぞ?すぐ帰ってくるからな。」
ハロ「わん!」
身支度をしてハロの頭を撫でてから家を出る。
ついでだ。アイツ(沖矢昴)の家でも見ておくか。
しばらく歩くと豪邸と思える家の前を通りかかる。
こんなところに平屋の豪邸があったとはな。
?「か、頭っ!ダメです!」
?「ふざけるな!家族が危険な目にあうってのをほっとけるか!」
?「だーかーらー!頭が行ったら意味がなくなるんですよ!」
?「離せ!」
玄関口で口論というより、今にも家から飛び出しそうな頭と呼ばれる人物。そしてそれを止める男。
零「あのー……すいません。危険な目にあうっていうのは?」
?「あ?誰だてめぇ。頭、下がってください。」
?「コラ、喧嘩腰に話すな。」
頭は男の頭を殴るとため息をついた。
?「すまない。こちらの問題なんだ。君に迷惑はかけられない。その気持ちだけ受け取っておくよ。」
頭は申し訳なさそうに笑うと頭を抱えて痛みに悶えている男の襟元を掴んで家の中に入っていった。
零「……。」
まさかな……。念の為だ張り込みをしてみるか。
家族が危険な目にあうと言っていたな。そして頭と呼ばれた男は出ていこうとしていた。つまり、必ず何らかの方法でこの家から出てくるはずだ。