第3章 🐾2
琥珀は仕事があるからと部屋に戻った。決して家から出ないでください と釘も刺された。玄関から自室に戻ろうとすると藍玉に出会った。
「藍玉か。今出ない方がいい。金髪の男が張り付いている。だがどこかで見たことあるような。……あ。」
藍玉「頭会ったことあるんですか?」
「あぁ、昨日な狼の姿の時に。……ん?あ!」
藍玉「ほー?昨日狼の姿だったと?潜入している仕事先が居酒屋だから遅くはなるだろうと思ってはいたが……。どこで道草をしていたのか教えていただけますね?」
昨日のストレス発散のことについては組のメンバーには伝えていない。伝えるとややこしいことになるからだ。まず1つはメンバー全員が俺を好きすぎること。もう1つが過保護すぎること。そして最後に心配性なこと。
「いや……その、ストレス発散に……。」
藍玉「ストレス発散に狼の姿になったと?まったく……。危機感が無さすぎます頭!いくら夜中とはいえ人が全くいないわけではないんですよ?それに頭の狼の姿はその辺にいるような狼とは違うんです。人間の言葉を理解して行動することができるんですから。それに!人を乗せられるほど大きな狼はこの日本にはいないんですからね?!」
マシンガンの様にお説教が飛び交う。
「わ、わかったから。もうしねぇって。」
藍玉「はぁ……。本当に分かってるならいいんですけど。頭が無くなったらこの組は終わるんです。だから頭はもっと自分のことを考えてください。聞きましたよ琥珀から……瑠璃の元へ行こうとしていたと。」
琥珀め。余計なことを。
「お前達がそこまで言うなら自室で大人しく仕事をしておく。安心してくれ、信頼していないから行こうとしたのではない。家族だから……。心配なんだ。」
藍玉は驚いた表情をしたがフッと笑う
藍玉「私だけでなく他のメンバーもわかっていますよ。だからこそ、頭の前で怪我をして帰ってきたことが1度でもありましたか?」
「たく……お前らは。」
支えているはずがいつの間にか自分も支えられていたのだと先程の藍玉の発言で痛感する。
そしてもっと家族にできることをやらなければと思った。
藍玉「そういえば今日は居酒屋への潜入ですよね?」
「あぁ、あれ。もう用はなくなった。黒だったから今日にでも沈めといてくれ」
藍玉「仰せのままに。」