第3章 🐾2
ピピピ……
ガシッと乱暴に時計のアラームを止めて体を起こす。
「ん……。」
体を起こせば、するりと和装の寝巻きがはだける。
?「頭ー!!!」
バン!ドブッ……
「って……」
?「えへへー。」
襖が勢いよく開くと、やんちゃな犬が俺に抱きついてきた。
「琥珀、みんなは?」
琥珀「みんな起きてるよ。あとは若だけ!」
「そうか。」
蒼玉の頭を撫でると寝巻きから和服に着替え、腰に引っ付いて離れない蒼玉を剥がそうとするがビクともせず諦める。
「いくぞ。」
琥珀「はーい!」
腰に琥珀が引っ付いたまま俺は寝室をでて、会議が行われる部屋に向かった。
襖を開けると雪崩込むようにして何かが部屋から出てきて俺は下敷きになった。
「おい。退かないか瑠璃、瑪瑙、藍玉、蒼玉。」
「「嫌だ。頭不足」」
なんなんだそれは。俺は充電器かなにかか。
「会議が始められねぇだろ。あとで俺の部屋で愛でてやるから。」
【愛でる】という言葉を聞けば瑪瑙、瑠璃、藍玉、琥珀は俺から離れた。琥珀は「俺は?」と言いたげな眼で訴えるものだから、「お前もだ。」と言ってやれば満足気に笑って部屋に入っていった。
この家、いや……組織は表向きは財閥、裏では密輸や薬……といったものの管理をしている。
何故俺がこんな組織の若をやっているかというと、簡潔に言えば組織の頭に拾われ育ててくださった。そして、頭が病死してからというものの俺が頭になることになり、今にいたる。
瑪瑙、瑠璃、藍玉、琥珀、蒼玉は拾われた時から俺の世話をしてくださった人達である。そして、俺が好きらしい。
ここの屋敷にいる人達。少なくとも瑠璃、瑪瑙、藍玉、琥珀、蒼玉といった宝石にちなんだ名前を与えられた者達しか俺が狼人間であることをしらない。
「で……。まだ捕まえられねぇのか。」
瑠璃「今日中には必ず。」
「頼りにしてる。」
瑠璃「は、はい!!」
瑠璃はほんの少し頬を赤らめて早速部屋を出て行った。
藍玉「では報告の続きを……。」
裏でコソコソしている馬鹿なヤツの報告や薬の出処、トラブル……自分の管轄内のことのみであるが大変なことに変わりはない。
消して人数は多くないこの組織で回せているのが不思議なぐらいだ。